個人山行記「尾瀬 燧ヶ岳、至仏山」2017.8.4-6

夏休みを利用して日常からの逃避行。念願の尾瀬へと向かう。 

8/4 金曜日の仕事を終えて、朝に準備してきた10kg超のザックを背負いJR津田沼駅より電車にて東武線 北千住駅へと急ぐ。

乗車するのは、日をまたいだ深夜00:10の尾瀬夜行の東武臨時列車、通称「尾瀬夜行」。

酒盛りするグループや静かに横たわる人などを乗せた車両は程なく都内を抜けて、午前1時には消灯。

窓に頭を傾げた姿勢のまま、私もいつのまにか眠りについた。

 

停まっている車両と周囲の人が動き出す気配に気づき、目を覚ます。

いつの間にか列車は会津高原尾瀬口駅に到着していた。外は真っ暗闇で時計を見ると3:30。

やれ遅れまいと早々に身支度を整え、朝飯のおにぎりを頬張りながら、駅舎の外で待つ4:20発の専用バスへと乗り換える。

山道を90分ほど揺られながら、早朝5:50に目的地の御池へ到着。自家用車組も合わせると50名以上の登山者が集っていた。

 

6:08 御池から入山。天候は晴れ。山の空気が冷んやりと心地よいが、すぐに急勾配の登坂が始まり、汗が一気に噴き出す。

美しい湿原帯が途中2箇所あり、可愛らしい高山植物に思わずカメラを向ける。

 

7:50 7合目を荒い息で通過し、8:00 50m程の急斜面に突如現れた万年雪エリアに遭遇して思わず足が止まる。

アイゼンを持ってこなかったことを悔やむが、もはや後の祭り。滑落したら一気に下まで滑り落ちることは間違いない。

仕方なく雪面は避けて、山肌が表れている右斜面に取りついてみたものの、草木で足元が滑りこちらも危険極まりない。

このままもし滑り落ちたら、10kg以上あるザック諸共、一気に下まで滑落していくことの恐怖心から、思わず心臓がキュッと縮まる。四肢を踏ん張り、蜘蛛のように体勢を低めて地面に這いつくばる。

山草の根やら茎やらを鷲掴みしながら、ただただ慎重に何とかこの難所を切り抜ける。

 

8:18 には8合目、8:25 には9合目を通過してグングンと高度を上げる。

8:35にピークのひとつ、俎嵓(まないたぐら)に登頂。小休止の後、眼前の最高地点2,356mの柴安嵓(ばやすぐら)に登頂。

遥か遠くの眼下左手には尾瀬沼、眼下正面にはこれから向かう尾瀬ヶ原が広がる絶景を眺める。

 

9:25 下山開始。いざ尾瀬ヶ原へと見晴新道を下る。しかし、岩稜帯から樹林帯へ入ると、途端に道のコンディションが悪化。

あまり踏まれてない道と木の根、泥濘みに足を何度となく取られ、計4回も見事な尻餅。

うんざりする程に続く悪路にほとほと気疲れしながら、11:35 ようやく樹林帯を抜けて尾瀬ヶ原の見晴へと到着。

尾瀬ヶ原の素晴らしい眺望に疲れも忘れる程。しかし、軽い熱中症の様な頭痛と疲労感があったので、ここで昼食休憩。

当初はここのキャンプ場でテント泊の予定であったが、だいぶ快調に飛ばしてきたので、明日の至仏山登頂のことを考えて、

尾瀬ヶ原の対面で至仏山の麓にあたる、山の鼻まで移動して泊まることにする。

 

12:34 見晴を出発。日も高く天気も良いので、尾瀬ヶ原は動植物を良く観察しながら、のんびりと歩く。

13:08 竜宮を通過し、14:42に山の鼻に到着。

 

テントを設営し、晩飯を平らげて、至仏山荘のお風呂で入浴。ビールで喉を潤し、20:00には爆睡。

 

翌朝は5時に起床し、朝飯を食べて、荷物をパッキングし、6:22に出発。天候は曇天。

後方に尾瀬ヶ原を見ながら、7:25 鎖場エリアへ取り付く。滑りやすい蛇紋岩に気を付けながら、8:50に登頂。

ガスで景色は期待できないので、そそくさと9:00には下山。9:30に小至仏山へ到着。

10:40に鳩待峠に到着し、バスで戸倉へ下り、温泉で汗を流して上毛高原駅までさらにバスを乗り継ぎ帰宅。

 

日常や世間からしばし離れて、大自然と対峙した2日間に感謝。                 

                                              以上 文責:山口正史